明利徹 伝説(前編)
〜今だから明かされる忌まわしき悪夢〜





平成12年

12月末

風邪をこじらしたまま、延期された戸田杯、地区インドアに出場。
忘れもしない12月23日、24日と連続出場となった日である。
22日の夜、ペアの岩見に一本の電話があった。

明利
「俺よぉ〜、何か風邪ひいて体がだり〜っちゃわ〜」

しかしペアの岩見は、それを
一蹴した

岩見
「あ〜、まぁいいが。遅刻すんなよ。」



翌日の戸田杯、風邪をおしての出場となったが
5ペアリーグの中、4勝1敗という好成績を残すも
無念の予敗退となった。
この日明らかに明利の体調は万全ではなかった。
それだけではなく、
どう見てもおかしかった
しかし、それゆえにペアの岩見はこの大会の結果に
納得が行かず、翌日の地区インドア出場に
不安を抱える明利の言葉さえも
さらに一蹴した。

明利
「明日、俺やべ〜かもしらん・・・」

岩見
「はぁ!?はよ寝て仕上げて来い!」


次の日、会場に現れたのは
風邪を万全に自分のものとし、
タオルを口に当て、よろめく明利の姿だった


勘違いなのか、仕上げてきたのは
風邪の進行だった


しかしそんなものを、相手にするはずもなく大会は
確実に進行していった。
第1試合、なんとか踏ん張った明利の頑張りでがっちり勝つ。
しかし、試合直後、明利は車へと駆け込む。

ポカリスエットを片手に車で汗をかこうという腹だ。
このあたり、明利の執念が垣間見られる。
試合の合間にはこのようにして体調を整えようと
同じ光景が繰り返される。

しかし、一向に体調は戻らず、むしろ悪化をたどる一方だった。
時には、車に駆け込むと見せかけ、トイレに駆け込み
吐いたという話も・・・・。


そして迎えた準決勝。
ここから、これまでの異変とは大きく異なる
ビッグウェーブとも言える異変が訪れる。



目の前からアタックを打たれた岩見が必死のフォロー
そしてロビングが明利の目の前に落ちてくる。
「何とかしてくれ!」
岩見の期待は背中の後ろの明利へ!



「おっしゃ、ラッキー」

「あれ?」

岩見の後ろに飛んでいったロビングは
どう考えてもアウトではなかった。

しかし、背後から聞こえてきた明利の声は
はっきりと、大きな声で、アピールするように
こう言ったのだ。


「おっしゃ、ラッキー」

会場が笑いに包まれた!

自信満々にワンバウンドのボールを手にとり
次のサーブに備える明利。

ラリーが続くはずの場面で、プレーが止まり
何がなんだか分からず戸惑うコートの3人。

明利の驚くべき行動に
大爆笑の館内のギャラリー。

そう、明利・岩見組の失点である。
そして
失態である。

毎回毎回笑いを取る明利とはいえ
これはあまりにもひどすぎる。


いや異常だった。
ルールを把握していない初心者ならまだしも、
その年全日本社会人選手権にも出場した男だ。

この時からすでに明利の脳に異常は始まっていた。


そう

これはまだ初期段階


この後に迎える、

誰も予想できない悪夢を

予測する者など1人もいなかった。

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